猫ってモフモフしていてとっても可愛いですよね。
ゆっくり動くふわふわのしっぽなんて、もうたまりません。
そんな毛は猫の大きな魅力の一つですが、同時にお悩みランキングでも常に上位に入るわたしたちを困らせる存在。
この抜け毛は、春と秋の換毛期に特に増えることが知られています。
先日、猫を飼い始めてから1年ほど経った友人からこんな話を聞きました。
そうなんです。
実は室内飼いの猫たちの換毛期の様子は、外で暮らす猫たちとはちょっと違っているんです。
これは、猫の毛が持つ役割と換毛の仕組みが大きく関係していました。
今回は、猫の換毛期を中心に毛の仕組みについて詳しく解説していきます。室内で暮らす猫の抜け毛に悩む飼い主さん、必見です。
室内飼いの猫は換毛期がないことも多い
最近は95%近い猫が室内のみで飼われているというデータもあるくらい、室内飼いが主流の猫界。
「みゅう」と暮らしていた頃は、塀の上でお昼寝をしたり単独で悠々と歩く、首輪をつけた猫ちゃんがたくさんいました。
一般的に猫は3月頃と11月頃「換毛期」と呼ばれる毛の生え変わる時期を迎えますが、愛猫にはないようだと感じている飼い主さんがとても多いんです。
ですが、これは一度に大量に抜け代わる時期がないというだけで、一年中生え変わりが起きている状態です。
そもそもなぜ毛が生え変わるかと言えば、人間と違って、暑い夏も寒い冬も毛皮一つで乗り越える動物たちにとって、被毛の量や質を変えることが体を守る上で必要だから。
これは換毛が起こる理由に秘密があります。
次の章で詳しく説明していきますね。
毛が生え変わるしくみ
換毛期がはっきりしていても、していなくても、毛が生え変わる仕組みは同じ。60日~90日周期で、生えては抜けていきます。
常に毛が生え変わっているというのは、この周期で必ず抜けているからです。
そして、「毛周期」と呼ばれる毛が生えてから抜けるまでのサイクルは、以下の要因で変化することがあります。
- 毛の長さを決める遺伝子(短毛種より長毛種の方が周期が長い)
- 日照時間(日照時間が長くなると毛の成長が促される)
- 気温(体温調整のため、換毛が起きる)
- 栄養状態(栄養が不足すると作られる毛の量が減る)
- 神経(麻痺すると毛周期が乱れることがある)
- ホルモン(毛周期を調整している)
この中で換毛期の合図になるのが次の2つ。
- 気温の変化
- 日照時間
猫の毛は、古い毛を新しい毛が押し出す形で生え変わります。
寒い時期には、どんどん押し出されて抜けていくのを防ぐために、毛の成長がゆっくりになります。
一方で、暑い時期には、体に熱がこもるのを避けるために脱毛を促す必要があるため、毛の成長は早くなるんです。
ですが、室内で飼われている猫ちゃんたちはいつもとっても快適。
暑い時期にはクーラーで涼しく、寒い冬は暖房とコタツでぬくぬくです。
そして、遮光カーテンで朝を認識しにくかったり、夜は電気がついていて日の入りを感じるのが難しかったりと、自然界とは少し違ったリズムの中で暮らしています。
すると、被毛を入れ替えるタイミングがよくわからなくなってしまうんです。
これが、はっきりとした換毛期がない猫が増えている理由です。
その通りですね。一年中Tシャツ1枚で心地よい超快適空間で過ごしている人は多くないと思います。
ですから室内で暮らす猫たちも、一年中同じ毛の量と質では快適に過ごせません。
わたしたちの気づかぬ間に少しずつ毛を入れ替えて、常に心地よい状態に整えているんです。
特に多い時期がないというだけで、毛が抜けないわけではないのが忘れてはいけないところ。
一年中ゆるやかに生え変わっていて、まんべんなく抜けるので、抜け毛対策強化の時期が絞れない、年中対策が必要ということにもなります。
次にお話しする換毛期と抜け毛の関係を知れば、必要な対策が見えてくるはずです。
もしかすると、『室内で飼うのは猫にとって良くないのでは』と思う方もいるかもしれませんが、良いことづくめなので安心してくださいね。
猫の室内飼育には、下記のような多くのメリットがあります。
・交通事故にあう危険がない。
・感染症にかかる危険が少ない。
・近所の庭で糞やいたずらすることによるトラブルが少なくなる。
・虐待などの被害にあうことがない。
猫の換毛期に起こる変化
換毛期は、気温の変化と日照時間が合図で起こるとお伝えしました。
日本には四季があり、わたしたちは温かくなる頃と肌寒くなる頃に衣替えをしますよね。
猫たちも同じように、暑い季節が来る前と寒い季節が来る前に、毛の量や質を変えて快適に過ごせるように準備をする。
これが換毛期です。
どういうことか、詳しく解説していきますよ。
毛の種類
普段意識することは少ないですが、猫の毛にはそれぞれ違う役割を持った「オーバーコート(1種類)」と「アンダーコート(2種類)」があるんです。
【オーバーコート】
名称 | 特徴 | 役割 | 洋服で例えると |
ガードヘア | 太くまっすぐな毛 | 皮膚を保護する
|
コートなど |
【アンダーコート】
名称 | 特徴 | 役割 | 洋服で例えると |
オーンヘア | 毛先がやや太くて粗い毛 | 皮膚を保護する
保温・断熱する |
Tシャツ
パーカーなど |
ダウンヘア | 柔らかく縮んでいる毛 | 暑さからの断熱
寒さからの保温 |
肌着など |
オーバーコートとアンダーコート共に持っている猫をダブルコート、どちらか片方を持っている猫をシングルコートと呼びます。
換毛期で生え変わるのは、主にアンダーコート。
人間で例えるならば、温かくなる時期には涼しく感じる肌着に、寒くなる時には保温効果抜群の肌着に換える感じですね。
夏毛と冬毛
まずは、こちらを見てください。
https://twitter.com/TokyoCatWalker1/status/1355344033556516866?s=20
夏の猫ちゃんはさっぱりしていますが、冬の猫ちゃんはとってもモフモフ。
夏毛は通気性を良くするために少し硬く密度は低め、冬毛はとにかく温かさを保つためにふわふわです。
暖かくなる時には、体に熱がこもらないようにふわふわの毛を脱ぎ捨てます。
なので、春の換毛期はものすごい抜け毛に悩まされる飼い主さんが多いんです。
室内飼いで換毛期がはっきりしない猫ちゃんも、なんとなく、だんだんと冬に向かう準備をして、またなんとなく夏に向けてすっきりしていきます。
抜け毛対策 おすすめ2選
飼い主としては、一度に抜けるのが楽なのか、少しずつ抜け代わっていくのが楽なのか、どちらにしてもお手入れは大変です。
さらに、アンダーコートはとってもふわふわ。舞ってしまってなかなか回収が難しい。
抜け落ちた毛がついたソファやクッション、絨毯などのお掃除も、一筋縄ではいかないんですよね。
猫歴30年、悩みぬいた末にわたしがたどり着いたお掃除術をこちらでご紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
そして、この抜け毛は全て抜け落ちてくれるとは限りません。
実はかなり多くの毛を猫自身が舐め取って、飲み込んでいるんです。
少しの量であれば便と共に排出されるのですが、量が多すぎて胃の中に溜まってしまうと「毛球症」と呼ばれる病気になってしまうこともあります。
【毛球症とは】
猫が飲み込んだ毛が胃の中に溜まり、排出できなくなるとだんだん固まって毛玉になってしまいます。
便として排出できず、吐き出すこともできなくなると、猫自身ではどうにもできなくなり、食欲不振などの症状が見られるようになります。
最悪の場合、腸閉塞を起こし命を落とす危険性もある病気です。
※腸閉塞とは…胃や腸が内容物(毛球症の場合は毛玉)が詰まって、通過できなくなってしまう状態のこと。多くの場合手術が必要になる。
抜け毛のリスクは猫にとっての毛球症だけではありません。
はっきりしている・していないに関わらず、換毛期に抜けるのはアンダーコートとお話しました。
このアンダーコートは皮膚に近いところにあるので、抜けるはずのものがそのまま留まることで蒸れてしまい皮膚炎を起こす場合もあるんです。
とにかく大切なのは、抜けるべき毛をしっかり取り除いてあげること。
【お手軽だけど効果絶大】ブラッシングをする
いいんです。
一番身近な方法で、きっと多くの人が普段からしているであろうブラッシング。これがとても効果的なんです。
対策強化の時期を絞れないからこそ、おすすめしたい。
少なくとも短毛種で2日に1回、長毛種であれば毎日1回~2回、3分程度の短い時間で行うことがポイントです。
猫の負担にならないように、リラックスしているときに行いましょう。
「しゅり」にもブラッシングをしていましたが、終わった後わたしの洋服はいつも毛だらけ。
そこで考えたのが、濡らしたタオルで一度体を拭いてからブラッシングをすることです。
抜けた毛がふわふわと飛ぶのを防ぐことができるので、事前準備としてぜひおすすめします。
【勇気を出して一気に解決】シャンプーをする
猫は水が苦手な子が多いです。
それは先祖が砂漠生まれですから、毛の構造上仕方のないこと。
ですが、一気にしっかり毛を除去するのには最適です。
猫ちゃんと飼い主さんの気持ちを合わせ、しっかりステップを踏めばきっと大丈夫。
詳しく手順をご紹介していますので、少しでも興味が湧いた方はぜひ見てみてください。動画付です。
まとめ
今回は、室内飼いの猫の換毛期についてお伝えしました。
季節に適した毛の量と質を保つために、被毛を入れ替える時期のこと。
日照時間や気温の変化を感じ取って、1年に2回起きる。
- 春:冬毛→夏毛
- 秋:夏毛→冬毛
ですが、エアコンで快適・照明のある中で暮らしている猫たちは、換毛の時期を感じ取りにくくなっています。
そのため、室内飼いの猫は換毛期がはっきりしないと言われているんです。
だからと言って、毛が抜けないのではなく、常に抜ける状態にあると知ることが重要なポイントだとお伝えしました。
抜け毛対策として、長年の経験からおすすめしたいのは次の2つ。
- 【お手軽だけど効果絶大】ブラッシングをする
- 【勇気を出して一気に解決】シャンプーをする
モフモフで愛らしい猫の毛。
抜け毛と上手な付き合い方を見つけて、愛猫ちゃんと幸せな毎日を過ごしてくださいね。