突然ですが、猫ちゃんにご飯をあげた後の保存の仕方について考えたことってありますか。
そんな方も多いのではないでしょうか。
そのまま何の対策もなしに置きっぱなしになっているキャットフードを愛猫ちゃんに与え続けるのは、飼い主さんにとっても猫ちゃんにとっても、悲劇が起きる原因になるかもしれません。
猫ちゃん思いの飼い主さんはきっとこう思って心配になりますよね。
それでは、キャットフードをそのままにして置くと起きる悲劇とは。
ズバリ“キャットフードの酸化”です。
そう。酸化を起こしたキャットフードを猫ちゃんに与え続けることは猫ちゃんの体にとって、とても有害なんです。
今回はどうして酸化したキャットフードを与えてはいけないのか。
与え続けることで何が起きるのか。そして、そうならないための予防策について解説をしていきたいと思います。
そもそも酸化って何?
ちょっとだけ、専門的なお話をさせていただきますが、できる限り分かりやすく、イメージがしやすいように説明をしていきますので、お付き合いをお願いします。
酸化とは「電子を失う反応」物質が空気、酸素と結びつくことで本来の性質が、失われ変化することを言います。
そんなこと言われても分からないよと思われるかもしれませんが、私たちの身近には様々な形で「酸化」が存在していま。ほら、あなたの後ろにも。
では、例えばわたしは果物が好きでバナナやリンゴをよく好んで食べます。リンゴなんかは一人で丸々一個だと結構食べきれないことも多くて、サランラップをしてそのまま冷蔵庫、なんてことがあるんですね。
そうすると次の日に食べたくなって、冷蔵庫から取り出したら断面が茶色くなって色が変わってるんです。
野菜とか細切れ肉なんかも使いきれなくて、そのまま放置をしていたら色が黒く変色している、なんてことがあります。
皆さんもそんな経験や色が変わった野菜や果物を見たことがあると思います。
他には、釘や自転車のチェーンがサビてたり、輪ゴムを伸ばそうとしたら、ぼろぼろになったり。
これらの現象は酸化が起きることにより、見られる現象です。
食べ物はどうして味が落ちるの?
作りたてのご飯やおかずって、もの凄くおいしいですよね。逆に前の日のおかずの残り物が次の日も出てきたら、また、その次の日も出てきたら。
「最初に食べた時よりも、なんか味が変わったなぁ」
なんて感じたことはありませんか。
安売りになっているお惣菜を求めてわざわざ夜中にスーパーに行って、「まだ唐揚げが残ってた、しかも半額になってる。うれしい~」と思って買って食べたら、「なんかいつも食べてる味と違う気がする」なんて感じたことはありませんか。
これにはちゃんとした理由があります。
- 販売店舗などの加温販売による『熱劣化』
- 太陽光が当たることや商品ショウケースの照明による『光劣化』
- 時間が経ち過ぎることが影響による『経時劣化』
などの食品劣化が挙げられます。
これらの大きな原因が食品の中に含まれている成分の『酸化』になります。
空気に触れる時間が長ければ長いほど酸化の現象は進みます。
そうなると食べ物の味や匂いが変わります。当然、色も変わってきます。これらが酸化が原因による食べ物の劣化です。
必ずしも『酸化』=『劣化』というわけではありませんが、食べ物はほとんどの場合『酸化』がその品質・味・風味・匂いを変質させて、好ましくない状態にしています。
酸化したキャットフードは猫の健康を害する!
キャットフードも食品である以上、もちろん酸化が起こります。
猫ちゃんはもともと肉食動物なのでキャットフードには脂質やたんぱく質が多く含まれています。
残念なことに脂質はすぐに酸化が起こるという大きな弱点があります。その為に、フードを開けた時点から酸化が始まり、キャットフードの品質が低下していきます。味も匂いも悪くなります。
猫ちゃんの中には、食いつきが悪くなったり、匂いを嗅いだだけで食べなくなることもあります。
以前の私はそういうことを全く知りませんでした。袋に入っているドライフードを開けたら、何の保存対策も行わずに、袋の口をぐるぐる丸めて戸棚にポンって置いておくことしかしていませんでした。缶詰は蓋を開けたら、開けた蓋をのせるだけ。
その頃、わたしが高校1年生の時に飼い始めた2代目猫のしゅりが、一切ご飯を口にしなくなることがありました。
さらに新しい種類のご飯を買ってきてあげると、すごく喜んで食べてくれていたので、飽きたことが原因だって思ってしまっていたんです。
ただ、袋を開けた時点から酸化が始まる、酸化したキャットフードが有害であるということを知らない私はキャットフードを空気にさらすような仕舞い方しかしていませんでした。
のちにしゅりが体調を崩したことで、酸化したキャットフードが、猫の健康を脅かすことがあるということを知りました。
正直、その時は自分が情けなくなりました。わたしは猫ちゃんの親として立派に可愛がり育てていた気持ちになっていたからです。
皆さんにはわたしと同じような失敗をして欲しくないので、しっかりとお伝えしていこうと思います。
猫ちゃんに酸化したキャットフードを与え続けることで起きる症状や病気の一つに、おなかを壊してしまうということがあります。
その結果、軟便や下痢、嘔吐などを繰り返し、消化器症状を引き起こします。
それが続いてしまうと、栄養不足になり体重がどんどん低下をしていき、衰弱してしまいます。
またキャットフードの成分変化により猫ちゃんの体質にキャットフードが合わなくなることで発疹が出てきたり、血中のコレステロールが増加することで血管に詰まりが生じます。それが酸化することで動脈硬化などを起こす恐れがあります。
アレルギー症状を起こすこともあれば、がんの発生を高める原因にもなります。
酸化をしているキャットフードを見分ける方法
キャットフードには、ドライフードやウェットフードなどの種類があります。
ドライフードは防腐剤や酸化防止剤が含まれているものが一般的に出回っていて、水分も少ないことから酸化がしにくいです。
酸化をしていたとしても、あまり変化が見られないことから見分けるのは難しいかもしれませんが、ちゃんと方法はあります。
ドライフードは元々乾燥をしているため、酸化をするとフニャフニャベタベタしてきて柔らかくなるのが特徴です。手で簡単に潰せるほど柔らかくなっているときは、ほぼ間違いなく酸化をしていると思って、与えることはやめましょう。
これがドライフードの酸化の見極め方になります。
次にウェットフードですが、ウェットフードはドライフードよりも変化の見分けがつきやすいと思います。
ウェットフードは水分が多く含まれているため、酸化がとてもしやすいです。開封と同時に酸化が進みます。色が変化をしていたり、変な臭いや酸っぱい匂いがしている場合、誰でもわかりますよね。それはもう腐っています。開封後はできるだけ早く、食べさせてあげてください。
キャットフードの変化にはできるだけ早く気づいてあげるようにしましょう。
他にも猫ちゃんの食いつきが悪くなったり、フードを残すようになったときは、味が落ちている証拠です。酸化が原因かもしれません。
仮に猫ちゃんがご飯を残していたとしても、毎回しっかりと取替えてあげることが大切になります。室温や湿度によって酸化が起きるスピードも変わってきます。十分に注意をしてあげてください。
キャットフードの酸化を防ぐ方法
酸化は空気に触れた瞬間から始まるために、残念なことに完全に防ぐことは不可能となりますが、それでもできる限り長く新鮮に保つことはできます。
ここから酸化の現象を遅らせて、できる限り猫ちゃんのご飯が新鮮に保たれて、安心してあげられる方法を紹介していきたいと思います。
開封をしたらしっかりと閉めて保管をする
キャットフードは開封後の保存方法が酸化を防ぐ大きなポイントになります。
開封後は袋の中の空気をしっかりと抜いて閉じてあげることにより酸化の現象を遅らせることができます。
小分けにしてしまう
ドライフードはタッパーやジップロックなどの容器に小分けにして保存をしてあげることで、空気に触れる量を圧倒的に減らしてあげられるので、酸化防止を遅らせる効果も絶大です。結構手間がかかる作業にはなりますが、一日分ずつに分けるとさらに効果は絶大になります。
この時に食品乾燥材や脱酸素剤というものも一緒に入れて保存をすることで、酸化予防防止効果を高めることが可能です。
キャットフードをしまう場所にも気を付ける
温度や湿度が高い場所、直射日光がガンガン当たる場所にキャットフードを置いておくと、すぐに酸化が起こります。
夏は特に要注意です。風通しが良くて涼しいところに保管をしてあげてください。
ウェットフードは冷蔵庫よりも冷凍庫に保存をしてあげた方が効果的になります。
今日与えようと思っているフードを前の日に冷蔵庫に移して解凍をしてあげるのがポイントです。
どうしても冷蔵庫で保存をされたい方は、ホームセンターや通販などで猫ちゃんの缶詰用の蓋が販売されていますので、しっかりと閉じてから入れてあげましょう。
一番いいのは、ウェットフードはできる限り一日で使い切ってあげることが酸化をしたフードをあげないための予防策になると思います。
保存専用容器を用意する
フードストッカーなどの保存容器を使って、ドライフードを保存してあげることで酸化防止の効果があります。
その際にも食品乾燥材や脱酸素剤を一緒に入れると効果は高まります。
さらにドライフードの上に丸めた新聞紙やビニール袋を一緒に入れておくと保存容器の中の空気を抜くことができるので、とてもおすすめの方法です。
真空保存で空気を遮断する
市販の真空パック器や専用機械を使った真空保存をすることで、空気を遮断することができます。
手間がかかる上に、かなり割高にはなりますが、私の猫好きの友人はここまでやらないと心配で、安心してご飯があげられないそうです。
パッケージに書いてある保存方法をしっかり確認する
どうやって保管をしたらいいのかを迷ったときは、購入したキャットフードのパッケージを確認してみてください。そのフードに適した保存方法が書かれています。その方法に従って保存をすることも予防の対策になります。
まとめ
猫ちゃんだって一緒に暮らす可愛い家族の一員ですよね。猫ちゃんの健康を守ってあげられるのは、他ならぬ飼い主さんになります。
猫ちゃんが何を思い何を感じて生活をしているのかを、わたしたちが察して気づいてあげる必要があるのです。
さだまさしの歌に「にゃんぱく宣言」という歌があります。
その歌の歌詞に「お前俺の飼い主ならば、俺のことを俺より管理しろ」というフレーズを聞いて、思わず”ドキッ”としてしまいました。
今回はキャットフードの酸化についてお話してきました。
ドライフード・・ニャフニャベタベタしてきて柔らかくなる
ウェットフード・・色が変化をしていたり、変な臭いや酸っぱい匂いがしている
またこれらを与え続けることで猫の健康に危険を及ぼすこともわかりました。
酸化させない対策として次の方法をご紹介しましたね。
- 開封をしたらしっかりと閉めて保管する
- 小分けにしてしまう
- キャットフードを置く場所にも気を付ける
- 保存専用容器を用意する
- 真空保存で空気を遮断する
- パッケージに書いてある保存方法をしっかり確認する
食事は生きていく為の源です。飼い主さんも猫ちゃんも元気に幸せに過ごしていけるように、食べさせてあげるものには、猫ちゃんが安心して食べられるものを与えてあげましょう。