昔のことになりますが、可愛いなぁと愛猫しゅりの顔を見ていたある日のこと、目の中に何かが入っていることに気が付きました。
よく見てみると、眼球にぺたっと毛が張り付いていたんです。
猫だって痛いに違いないと慌てるわたしをよそに、平然とした顔をしているしゅり。
毛を取ってあげたい気持ちと、目に触るのは逆に危険なのではないかという気持ちの間で揺れ動きながら、わたしはただただしゅりを見守ることしかできませんでした。
しばらく時間が経ち、またあることに気が付きました。
安心したと同時に、今後しゅりの目に何か入った時に焦らないように、対処方法を調べてみました。
今回は自然に取れたので良かったのですが、放っておくと眼球を痛めた可能性もあったと知ってぞっとしたのを覚えています。
また、しゅりの目をじーっと眺めている時に気になったことがありました。それは、なんと、目の上の毛が少し薄いように感じたんです。
はげているのではないかと、二重の心配に。そちらについても調べましたので、合わせてお伝えしたいと思います。
猫の目に毛が入っていたら
人間と比べると、顔に対してとても大きな割合を占めている猫の目。
そんな大きな目だから、毛が入ってしまうのも納得です。
猫の目の中に毛を見つけた時どうしたら良いのか、詳しく見ていきましょう。
猫は目に毛が入っても痛くない
実は、猫を含め外で暮らしてきた動物は、多少目にゴミが入っても大丈夫。
目の表面はかたく傷つきにくくて、神経もあまり通っていないので痛みを感じにくいんですよ。
外で暮らしていれば、砂やゴミなどが入ることもよくあるのでしょうね。
そのために、猫の目には涙と一緒にゴミを流していってくれるシステムが存在しています。
人間もゴミは涙が流してくれますが、猫や犬の場合は膜のように涙が覆っているんですよ。
わたしたちの心をつかんで離さないウルウルのお目目は、そんな涙の膜が作り出しているのですね。
しゅりの毛も、涙が流していってくれたのでしょう。
目の中に毛が入った時の対処法
痛くないとは言っても、飼い主としては気になってしまいますよね。
猫が目に入ったゴミを気にしていない場合と、気にしている場合によって対処方法が変わってきます。
猫が目を気にしていない場合
しゅりのように、猫の様子がいつも通りであれば放っておいても時間が経てば取れることが多いので、あまり心配はいりません。
それでも放っておくのはかわいそうだという時や、しばらく様子を見ることが難しいという場合は、こちらの方法を試してみてください。
- コットンを湿らせて、猫の目のふちに沿ってそっとぬぐう
- それでも取れない場合は、スポイトなどで数滴水を垂らして洗い流す
この時の水は、水道水で大丈夫です。
もしウェットティッシュを使う場合は、アルコールが含まれていないかを必ず確認してくださいね。
猫専用のものも出ていますので、気になる方はチェックしてみてください。
猫が目を気にしている場合
もし、猫ちゃんが目をあけづらそうにしていたり、目の近くを触ろうとすると嫌がる時は、痛みを感じている可能性があります。
そういった時に無理に取ろうと目を触ると、余計に眼球を傷つけてしまうことも。
目に入っているのが毛ではなかったり、既に眼球が傷ついている可能性もあります。自分で対処するよりも、病院で取ってもらう方が安心です。
このような症状が見られるときにも動物病院に相談しましょう。
- 数日たっても取れない
- 目やにが増える
- 涙がたくさん出ている
目に入ったものがゴミだった場合は、放っておくと病気を引き起こすことも。もしもの時の為に、知っておきましょう。
【目に入ったゴミが原因で起こりうる病気】
流涙症 | 涙が過剰にでてしまう病気。涙が流れるところの毛が茶色くなる、「涙やけ」という症状を引き起こす。 |
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結膜炎 | 目の表面である結膜に炎症が起こる病気。白目が赤くなる、目やにが出る、涙の量が増える、目の内側が腫れるなどの症状がでる。 |
角膜炎 | 目の一番外側にある角膜が炎症を起こす病気。激しく痛み、目をショボショボさせたり、目を開けられない、涙の量が増えるという症状がでる。 |
猫の目に毛が入るのを防ぐためにできること
猫の目はウルウルとしている上に、横から見てみると少し出っ張っています。だから、毛が入ってしまうのは仕方がないことです。
それでも、なるべく毛やゴミが入ってしまうのを防ぐためには、定期的にお掃除をすることが有効です。
床のお掃除だけでなく、猫ちゃんが普段過ごすクッションやマットなども綺麗にしてあげましょう。
わたしはコロコロを使ってゆねのクッションを掃除しているのですが、思い立ったらすぐに使うことができるのでおすすめです。
目の上の毛が薄いのは病気?
猫の目の上から耳までの間をちょっと見てみてください。
もしかすると、しゅりと同じように少し毛が薄いという猫ちゃんもいるかもしれません。
しゅりの場合は少し薄いかなと思う程度。でも、はげているのかもと思うと心配でなりませんでした。
実はこの現象、かなり個体差が大きいものの猫にはよく見られるものなんです。
目の上の毛が薄い理由
この理由には、次の2つの説があります。
- 音を聞こえやすくするため
- マーキングでこするから
どちらも猫ならではの事情が関係しているのですが、詳しく解説していきますね。
音を聞こえやすくするため
目の上の毛が薄いのは、音を聞こえやすくするためなんです。
今はひなたぼっこをしたり、こたつでごろんと丸くなったり、ただただ可愛い猫たちですが、元々は立派な狩猟動物。
主に夜間に狩りを行うため、視力に頼ることは難しいんです。
だから、どんな小さな音でも聞き逃さないように、人間よりはるかに高い聴力を持っています。
聴力が高いというのは、聞き取ることができる周波数の範囲が広いということ。
周波数が低いと音は低く、逆に周波数が高いと音も高くなります。
この周波数で表すと、人間が聞き取ることができるのは20Hz~20000Hz(ヘルツ)まで、一方猫は30Hz~65000Hz(ヘルツ)まで聞き取れるとされているんですよ。
20000Hz以上はいわゆる超音波。猫は、わたしたちとは全然違う音の世界で生きているんですね。
さて、音が聞こえる範囲を「可聴域」と言いますが、この可聴域を広げるのに欠かせないのが可愛い三角のお耳。
音を集めて、増幅させる役割を担っています。
しっかり音を聞き取るために発達している猫の耳ですから、手前の毛も薄くしてさらに聞き取やすくしているというのも納得ですよね。
猫たちの優れた聴覚や嗅覚は、時に人間には信じがたい出来事を引き起こすこともあり怪談話の基になっていることも。
マーキングをする時にこするから
マーキングと聞くとおしっこのイメージが強いかもしれませんが、飼い主に顔をすりすりとこすりつける、あの可愛らしい行動もマーキングの一つなんですよ。
臭いをつけることで、自分のなわばりを示す行為のことです。おしっこをかけたり、臭腺とよばれる臭いが出る部分を、自分のものだと主張したいものにこすりつけたりします。
・スプレー行為(凝縮したおしっこを壁などに噴射すること)
・顔をすりすりこすりつける
・爪とぎ
などがあります。
しゅりもわたしが帰宅すると、すぐに足元に寄ってきてはすりすりしてくれていました。
ソファや飼い主に自分の臭いを一生懸命こすりつけているうちに、毛が薄くなってしまうなんて、可愛いですね。
病気かどうかを見分ける方法
元々の薄毛であればなんの心配もいりませんが、こんな症状が見られたら病気が原因かもしれません。
- 毛が薄い部分の皮膚が赤くなっている
- 体の他の場所にもハゲがある
- 搔きむしる様子がみられる
一つでもあてはまるものがあれば、動物病院を受診すると安心です。
まとめ
今回は猫の目と毛にまつわるお話をお届けしました。
目の中に毛が入ってしまった時は、慌てず焦らず、猫ちゃんの様子を観察しましょう。
【猫が気にしていない場合】
- そのまましばらく様子を見る
- スポイトやウエットティッシュを使って取る
【猫が目をこするなど気にしている時】
- 病院で取ってもらう(目を傷つける恐れがある為)
また、目の上の毛が薄いのには、猫の習性に基づいた理由があることがわかりました。
その理由とは、「周囲の音をよく聞くため」と、「マーキングでこすれてしまうから」でした。
程度は違えど多くの猫に見られる現象ですが、中には病気が原因で薄くなっている場合もあります。
- 毛が薄い部分の皮膚が赤くなっている
- 体の他の場所にもハゲがある
- 搔きむしる様子がみられる
このような症状が見られるときは、皮膚炎などに罹っている可能性もあるので、動物病院を受診してくださいね。
いつも一緒にいても、じーっと愛猫を見ないと気付かないことってあるんだなと、改めて思った出来事でした。