猫の歯磨きを始めようと一大決心したにもかかわらず、上手に磨くことができず心が折れそう、なんてことありませんか。
わたしは先代愛猫「しゅり」が3歳のころ、動物病院の先生から歯垢が溜まっていることを指摘され、歯磨き方法を教えてもらいました。
帰宅しさっそく教えてもらった方法で歯磨きをしてみようとしたのですが、動物病院では猫をかぶっておとなしくしていたしゅりも、家の中では逃げ回り歯磨きどころではありませんでした。
動物病院で先生がお手本として見せてくれた歯磨きを、家で同じように行うのは無理だと悟ったわたしは、少しずつ、しゅりのペースに合わせて歯磨きの練習から始めることにしました。
結果、わたし1人でしゅりの歯磨きができるようになったのは、歯磨きの練習を始めて半年ほど経ったころでした。
そんなしゅりと一緒に乗り越えた、歯磨きが嫌いな猫に歯磨きをするコツをわかりやすく伝授していきたいと思います。
猫ちゃんの性格も大きく影響するので、焦らずに練習してみてくださいね。
上手に歯磨きをするコツ
皆さんも痛感されていると思います。
始めから上手に歯磨きのできる猫はいません。
猫の歯磨きができるようになるためには、次の3つのステップを無理なく練習していく必要があります。
- 口の周りを触れるようになる
- 指や歯磨きシートを使って歯磨きに慣れる
- 歯ブラシで歯磨きできるようになる
今回のお話は、歯磨きを試してみたことがあるけれども、嫌がられてしまった猫ちゃん向けの内容になっています。
基本的な3つのステップについては、こちらの記事で紹介しているので、合わせて読んでみてくださいね。
そうですよね、まずはどうして猫が歯磨きが嫌いなのかを説明していきますね。
歯磨きが嫌いな理由
猫が歯磨きが嫌いな理由は、「口を触る」「体を拘束する」という、猫がストレスを感じる行動を一度に行うことになるからです。
逆に、猫に歯磨きをするコツは、この2つのストレスを取り除いてあげることになります。
具体的にはこんな感じです。
- 口を触られることにきちんと慣らしてあげる
- 猫がストレスを感じない抑え方をしてあげる
まずは、口を触られることに慣らしてあげる方法から見ていきましょう。
猫の口の周りを触る練習法
歯磨きが嫌いな猫に、上手に歯磨きをするコツの1つ目は、口の周りを触られることに慣らしてあげることです。
すでにお口周りに触ることができる方も、ぜひ復習がてら読んでみてください。
まず頭を撫でたり、体を撫でてあげたりしながら猫ちゃんをリラックスさせてあげます。
そんな普段のスキンシップにプラスして「あ、ちょっと口元に触っちゃった」くらいの気持ちで口の周りに触ります。
ここで一番大切なことは、飼い主さんが一生懸命になりすぎないことです。
「よしやるぞ」と意気込んで猫の口元に狙いを定めたり、息をのんでしまうとその緊張感が猫に伝わってしまいます。
そうならないためにも、猫がリラックスしていることももちろん大切ですが、飼い主さんもリラックスした状態で行うのがコツになります。
「口元に触っちゃった」作戦が成功したら、お口や頬っぺたのあたりを優しくマッサージしてあげるイメージで、口の周りを触られることを少しづつ慣らしてあげます。
こちらの動画のように、一度の練習はほんの数十秒でかまいません。
少し慣れてきたら、レベルを一つ上げて歯茎も触ってみましょう。
これらの手順を、1日や2日でできるようにする必要はありません。
今日は口に少し触れた、次の日は口元をマッサージできた、さらにその次の日は口を触るのを嫌がられた、など、どんどんとステップを上げていく必要はありません。
特に警戒心の強い猫ちゃんの場合、このステップに多くの時間をかけることが、結果的に歯磨きを簡単に行うことの近道になります。
歯磨きにオススメな保定方法
歯磨きが嫌いな猫に、上手に歯磨きをするもう1つのコツは、猫にとってストレスの少ない保定方法をみつけてあげることです。
よく歯磨きをしようと思った時、正面から向き合ったり、あるいは猫ちゃんを膝に仰向けに寝転がらせる体勢をイメージしませんか。
しかし、正面から向き合ってしまうと、猫は逃げ道を塞がれたことにより、不安を感じてしまいます。
また、仰向けのような手足が床に付いていない状態も、猫にとってはいざという時に逃げだすことのできないため、嫌がりやすい体勢になります。
わたしのオススメな保定方法は、猫ちゃんの後ろから包み込むような体勢です。
しかしこの正面を塞ぐ・床から手足が離れる、というのはあくまで猫が本能的にストレスを感じやすいポイントになります。
後ろから何かがぶつかって怖い思いをした経験のある猫ちゃんは、後ろから抑えられることでストレスを感じてしまうこともあります。
飼い主さんの抱っこが一番の安心できる、という猫ちゃんもいますよね。
こういったエプロンを使って、膝の上を積極的にリラックスできる場所にしてあげるのも効果的です。
ちなみにしゅりは、抱っこされた状態で歯磨きをされるのが嫌だったみたいで、抱っこじゃない体勢であれば歯磨きをさせてくれるようになりました。
- 猫も飼い主もリラックスしている状態で口の周りを触る練習をする
- 口の周りを嫌がられずに触れるようになることが、簡単に歯磨きができるようになる近道
- 正面を塞がない、手足を床から離さない、などストレスの少ない保定方法で歯磨きを行う
奥歯は?歯の裏側は?磨きにくいポイント
口の周りを触られることに慣れてきたら、いよいよ歯磨きの練習スタートです。
まずは、猫の歯がどのように生えているかについてお話ししていきますね。
この記事を読んでいる方は、きっと猫ちゃんが歯磨きが苦手で困っている方が多いと思います。
そのため、敵(歯並び)をよく知り、磨きにくいポイントを予習しておくことで、猫の歯磨きにかかる時間を短縮することができるのです。
歯並びだけでなく、歯垢が溜まりやすいところ、磨きにくいところとポイントを押さえながらみていきましょう。
猫の歯並び
まずは猫の歯の名称から見てみましょう。(これらを覚える必要はありませんよ)
- 切歯(前歯)…正面に生えている小さい歯。上下に6本ずつ。
- 犬歯(八重歯)…猫の歯の中で一番大きな歯。切歯の隣に上下2本ずつ。
- 前臼歯(奥歯)…犬歯の奥に生えている歯。上が6本、下が4本。
- 後臼歯(永久歯として後から生えてくる奥歯)…一番奥に上下1本ずつ。
それでは問題です。
一番歯垢が溜まりやすい歯はどの歯でしょうか。
特に、上の奥歯に歯垢が溜まりやすいとされています。
では次の問題です。
一番磨きにくいのはどの歯でしょう。
そうなんです、猫もわたしたち人間と同じで、奥歯に歯垢が溜まりやすく磨きにくいのです。
そんな奥歯の磨き方を紹介していきますね。
奥歯(臼歯)の磨き方
猫ちゃんの奥歯を磨くにはいきなり歯ブラシで磨かずに、飼い主さんの指に歯磨きペーストをつけて歯磨きの練習をすることから始めましょう。
今までのお口の周りや歯茎を触る練習も指でしていたので、歯磨きペーストがプラスされたようなイメージです。
歯磨きペーストを付けた状態でお口の中を触られることに慣れてきたら、奥歯を意識しながら磨いてあげてください。
奥歯は先ほどお話ししたように、上の歯であれば八重歯(一番大きな歯)より奥にある4本の歯になります。指の感覚で数えながら磨くのがコツですよ。
下の歯であれば、八重歯よりも奥にある3本の歯になります。
初めはこちらの動画のように、今日は上の歯だけ、翌日は下の歯だけ、となるべく短時間で終わらせてあげましょう。
歯磨きペーストに慣れてきたら、歯磨きシートを使っての歯磨きにステップアップしましょう。
指に巻いたシートが余ってしまい、猫ちゃんのひげに当たってしまうと嫌がる原因になってしまうので、指にぴったりと巻くことがコツになります。
それでは、次は歯の内側の磨き方をお話ししていきますね。
内側(裏側)の磨き方
磨くことの難しい猫の歯の内側ですが、外側(唇に触れる側)と比べ、舌が直接触れるため歯垢は付きにくいです。
歯磨きシートでの歯磨きに慣れ、歯ブラシで歯磨きができるようになったら内側を磨くことにもチャレンジしてみましょう。
歯の内側を磨くことは、猫の歯磨きへの道のりのラスボスといったところですね。
歯の外側は口を開けていない状態でも磨くことはできますが、歯の内側、特に前歯と八重歯の裏側は口を開けた状態でないと上手く磨くことができません。
口を開けてくれない猫ちゃんの場合、片手で頭の後ろを支えてあげながら、もう片方の手で下の前歯を下げてあげると口を開けられます。
歯の内側を磨くステップも、口を開ける練習、その次は歯の内側に歯ブラシを入れる練習から始めてあげてください。
- 1番磨きにくく歯垢が溜まりやすいのは奥歯
- 内側(裏側)を磨くことは、歯ブラシに十分慣らしてから行う「歯磨きのラスボス戦」である
猫の歯磨きQ&A
その他にも、歯磨きをするうえでよく疑問に思うことをまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
Q1歯磨きをするベストなタイミングは?
A、できれば毎日、リラックスタイムに
猫の歯垢は約一週間で歯石になると言われています。
そのた毎日歯磨きをするのが理想ですが、難しいようでしたら2~3日に一回を目安に歯磨きをするように心がけましょう。
歯磨きをするタイミングですが、人間のように食後などにこだわる必要はありませんよ。
猫ちゃんがお口の周りを触らせてくれそうな、機嫌のいい時を狙って歯磨きをしてあげてくださいね。
Q2簡単に歯磨きをする方法は?
A、様々な歯磨きアイテムを使うのがオススメ
先ほど、歯磨きは毎日行うのが理想だとお伝えしましたが、それって結構大変ですよね。
わたしも忙しい日などはゆねの歯磨きをお休みして、デンタルトイや歯磨き効果のあるおやつやガムをあげています。
歯磨き効果のあるおやつについてはこちらの記事で紹介していますので、気になる方は覗いてみてくださいね。
Q3猫が歯ブラシを噛んで困る!解決方法は?
A、思う存分歯ブラシで遊ばせてから磨く
わたしもしゅりに同じことをされたので、その大変さはよくわかります。
まず、歯ブラシを噛んでしまうことことですが、歯ブラシを噛むだけでも歯磨きの効果はあるので、何もしないよりは歯ブラシをガジガジと噛ませたほうが良いですよ。
噛むのに飽きて、歯ブラシをあてても噛まなくなったら、奥歯など歯垢が溜まりやすいところを少し磨き足してあげましょう。
このような、先端がすべてブラシになっているものを使って噛ませてあげるのがオススメです。
持ち手にじゃれついてしまう問題は、思わぬタイミングで猫パンチを貰ってしまいそうで怖いですよね。
そんな時は、歯磨きタイムではない時に、歯ブラシを猫に遊ばせておくのがオススメです。
猫ちゃんに歯ブラシにじゃれついても、音も鳴らなければ逃げ出しもしない、ただのつまらないものである、ということを先に認識しておいてもらうのです。
無理に歯ブラシにこだわらずに、指サック歯ブラシで磨いてあげるという方法もありますよ。
Q3猫の歯磨きにまたたびが良いって本当?
A、使用できる猫が限られるが、基本的にはOK !
またたびが大好きな猫ちゃんは、無条件でじゃれてくれるので歯磨きにも積極的に取り入れたいですよね。
またたびは猫の唾液の分泌も促すので、歯磨き使用するのは基本的にはオススメです。
しかし、子猫には使用できなかったり、一日に多くの量を与えることができなかったりと、使用方法には注意しなければなりません。
- 1歳未満の猫は、嗅覚と神経機能が十分に発達していない可能性があるので使用を控える
- 与えすぎると呼吸困難を引き起こす可能性がるため、分量をきちんと守って使用する
ネットの情報や口コミなどを見る限り、避妊や去勢の手術をしていると効果が出にくいことがあるようなので、購入の際は試しに少量を買ってみることがオススメです。
まとめ
今回は歯磨きが苦手な猫ちゃんに向けて、上手に歯磨きができるようになるコツをメインにお話をしてみました。
猫ちゃんが苦手なポイントは以下の2つで、それぞれの解決方法も紹介してきました。
- 口を触られる
- 体を押さえつけられる
- 口周りを触る練習をする
- 猫ちゃんに合った保定方法をみつける
この2つのポイントを少し意識しながら歯磨きの練習をしてみてくださいね。
また、効率よく歯磨きをするためには、歯垢が溜まりやすくかつ磨きにくい奥歯を意識して磨くことがポイントです。
奥歯の場所は、犬歯(一番大きい歯)の奥側。
上の歯であれば4本(永久歯が生えていなければ3本)
下の歯であれば3本(永久歯が生えていなければ2本)
そのほか、実際に使ってみて便利だなと感じた商品を「猫の歯磨きQ&A」のところで紹介しているので、ぜひ使ってみてくださいね。