皆さん猫ちゃんの口内ケアは出来ていますか。
この前友人からこんな相談をされました。
同じような悩みの方多いのではないでしょうか。
ですが猫の歯磨きを後回しにしてしまうと、ただのお口のトラブルだけではなく生死に関わってきてしまいます。
わたしは普段歯科衛生士として働いているため、歯磨きの重要さは理解しているのですが、猫にそれを理解してもらうのはなかなか厳しく、歯磨きを嫌がられてしまう日々でした。
無理やり歯磨きをさせようとしていたら常に猫から警戒されてしまうようになり、なんだか誰のためにやっているのだか分からなくなってしまいました。
しかし、世の中には猫から嫌がられないようにお口の中をケア出来る方法がたくさんあったのです。
今回は継続しやすい歯磨きをするための手順と、より効率よくお口のケアが出来る便利グッズを紹介していきます。
まずは歯磨きの大切さについて知っていきましょう。
歯磨きの必要性
二歳以上の猫の約70%が歯周病にかかると言われています。
なぜそんなにも数が多いのかと言うと。
普段の生活で口内ケアができていないために、口の中に歯垢が残ってしまう事が原因です。
【歯垢とは】
歯の表面や歯と歯ぐきの境目などに付着する白いかたまりの事で、1グラムあたり1,000億個もの細菌が生息しています。
この歯垢が歯石になる事で歯周病と言ったお口のトラブルになります。
人間の場合、歯垢が歯石に変わる時間が25日ほどと言われていますが、猫はその4~5倍のスピードの約1週間です。
野良猫と家猫の違い
野生の猫は餌となる獲物の硬い皮膚や筋肉をかみちぎる事で、歯垢が自然に取れるようになっています。
しかし家で飼っている猫の場合、口の中で柔らかくなるキャットフードを中心とする食事になる為、歯に汚れが付きやすくなってしまうのです。
猫の歯磨きの目安
歯磨きは1日1回出来ればとても良いとされていますが、難しい場合は3日に1回のペースでも口内トラブルを防ぐ事が出来ますので、しっかり継続して歯を磨いてあげる事が大切です。
いきなり歯磨きは無理
今まで歯磨きをしていなかった猫にいきなり歯磨きをすると、大体の猫は嫌がります。
歯磨きをするには順番が重要になってきます。
この順番を知っておく事で今後継続させやすい歯磨き習慣を作る事が出来ます。
ステップ1[顔や口周りに触れられる事に慣れる]
慣れていない猫の口周りを無理に触る事で《飼い主が嫌な事をしてきた》と猫が思ってしまうと、猫との仲が悪くなってしまう可能性もあります。
そうならないように普段、頭をなでる時にさりげなく口周りを触ってみてください。
徐々に口の中、前歯、奥歯と順番に触ってみましょう。
ステップ2[軽くお掃除]
口周りや口の中を触れるようになったらステップ2です。
何か分からないものを口元に持って来られても猫は困ってしまうので、ステップ2では飼い主の指以外のもので触られる事に慣れさせましょう。
- ガーゼ
- シート
- ペースト
ガーゼ
最初はガーゼを使うと良いでしょう。
猫を抱きかかえて指にガーゼを巻いて歯の掃除をします。
ガーゼに動物用の歯磨きペーストやウェットフードの水分を付けて舐めさせる事が出来るので、警戒されにくいのです。
慣れてきたら歯を掃除してあげましょう。
私は最初に家にある普通のガーゼを使って猫が嫌がらないかを試してみました。
シート
使い方はガーゼと同様、猫を抱きかかえて指にシートを巻き付けます。
シートが指に密着して感覚が伝わりやすいので、口の中に突っ込みすぎる事を防ぎ、柔らかい歯ぐきなどを傷つける心配もありません。
使い捨てのため衛生的にもおすすめです。
歯磨き手袋
手袋タイプなので、あらかじめ手に装着して口元を触りながら指先の凹凸を使ってさりげなく歯のケアが出来ます。
歯磨きに慣れていない猫はもちろん、飼い主にも使いやすくなっていてとても人気の商品です。
繰り返し洗って使える事も魅力です。
一緒に使うと効果的なペースト
人間が使っている歯磨き粉のようなものです。
人間用の歯磨き粉と違い歯磨き後に口をすすが必要がなく、味が付いているため歯磨きに慣れていない猫は、ペーストをガーゼや手袋に付けて舐めさせることから始めるのがおすすめです。
また、歯磨きに慣れた猫にもいつもの歯ブラシに付けてあげる事で口内ケアがさらに効果的なものになります。
ティッシュは溶けやすく、すぐにボロボロになって誤飲してしまう恐れがあるので、ティッシュで歯を磨くのは避けましょう。
ステップ3[歯磨き]
さあここまで来られたらあと少しです。
「歯を磨く」作業に入っていきます。
- 綿棒
- 指サック
- 猫用歯ブラシ
- 人間用歯ブラシ
綿棒
綿棒は端が柔らかいため歯肉を傷つけずに歯垢を取ってくれます。
口の小さい子猫や、まだ歯磨きに慣れていない猫にもおすすめ。
一度に多くの歯を磨こうとせずに綿棒で一日1~2本を目標に磨いてみましょう。
嫌がる素振りを見せたらやめましょう。
指サック
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歯ブラシに挑戦する前におすすめです。
指サックは人差し指にはめて使う事で歯の感触を実感しやすくなり、ステップ2で使っていたガーゼやシートより口内の隅々まで磨きやすくなっています。
口内に入れた時に直接指を噛まれる心配もなくなります。
猫歯ブラシ
猫用の歯ブラシと言ってもさまざま形があるので、色々と試して猫ちゃんに合った歯ブラシを探してみてください。
・一般的なタイプ
こちらの商品は毛先が1つになっているので、口や歯の小さい猫でも磨きやすくなっています。
・360°歯ブラシ
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どの角度でも磨けるため、なかなか見えにくい奥歯にも使いやすいタイプです。
人間用歯ブラシ
絶対に動物用を使わないといけないわけではありません。
人間用を使っている方も居ます。
人間用の歯ブラシを使う場合は赤ちゃん用をおすすめします。
赤ちゃん用だと毛がとても柔らかいため歯茎を傷付けにくいからです。
歯ブラシを選ぶポイント
数が多いと逆に選ぶのが大変ですが、その時の猫の気分や体調、性格によっても適している歯ブラシは変わってきますので、以下の事を基準に選んでみてはいかがでしょうか。
- 猫が嫌がらないもの
- 飼い主が使いやすいもの
- 効果が感じられるもの
①猫が嫌がらないもの
猫が拒んでしまう物で無理やろうとしても上手く出来ません。
まずは、猫が嫌がらないものを探しましょう。
ステップ2で紹介したガーゼやシートからステップ3の歯ブラシに切り替えようとした時に嫌がるようでしたら、ステップ2で使っていた物を使いながら、おやつやペーストを塗った歯ブラシに触れさせてみましょう。
②飼い主が使いやすいもの
歯磨きを続けるには飼い主の使いやすさも重要になってきます。
上手く使えず歯磨きの時間が掛かってしまうと、猫は歯磨きが嫌になってしまいます。
さらに、使いにくいものを無理して使うのは、猫だけではなく飼い主にも負担がかかってしまいます。
③効果を感じられるもの
最後に大事なのは効果ですね。
①,②を通して猫に歯磨きの習慣を付けられるようになったら最後は歯磨きとしてしっかり効果が感じられるものを選びましょう。
歯磨きを始める前に一度、今の猫の口の中を見てみましょう。
歯の付け根に歯垢や歯石が付いていないか、また歯茎が赤くなっていないかをチェックしておきます。
お口のケアがしっかり出来るようになると歯垢や歯石、歯茎の赤みが目立たなくなります。
そして、口臭もです。
わたしの猫は口臭が酷かったのですが、お口のケアが出来る様になってからは口臭が気にならなくなりました。
適している歯ブラシを1つに絞る必要はありませんので、いくつか使いやすいのを見つけてみてください。
楽ちん魔法グッズ
分かります。
わたしの友人も野良猫生活が長かった猫と暮らしているため、なかなか歯を磨く事が出来ず悩んでいました。
冒頭で説明した通り、野良猫は歯磨きの習慣がありません。
今までやってこなかった事を無理やりやろうとすると、打ち解けてきた猫と飼い主との間に亀裂が入ってしまいます。
また、わたしも歯磨きは3日に1回でも良いと言われていても、可愛い猫の健康の為には毎日お口のケアをしてあげたいと思っているのですが、正直毎日は大変と感じてしまいます。
そんな方にお勧めの商品をいくつかご紹介します。
スプレータイプ
大丈夫、そんな猫ちゃんにはスプレータイプを使ってみましょう。
スプレータイプの主な使い方はお口の中に「シュッ」と吹きかけるだけ、歯磨き嫌いな子でもお口のトラブルとなる「口臭」「歯石」の予防が簡単に出来ます。
水に混ぜるだけ液体タイプ
普段の飲み水にこの商品を適量加えて飲ませるだけで、歯垢・歯石の予防が出来る優れものです。
無香料、無着色、に加え天然植物エキス配合で、歯磨き嫌いな子でもストレスなく口内ケアが続けられます。
実はこの商品、多頭飼いをしている友人からオススメされたのです。
多頭飼いしている人は1匹に歯磨きの時間をとる事が難しいため、こちらの商品を使う事ですべての猫の口内ケアがしやすくなります。
おもちゃ感覚でお口ケアグッズ
最初の頃は口すら触らせてもらえなかったので、おもちゃやおやつでお口のケアをしていました。
わたしの猫はおやつに関しては食いつきが非常に良いので、おやつも歯磨き用を使っていました。
っと内心思いながらおやつをあげていました。
ガム
いつものおやつを歯磨き用がガムに変えてあげる事によって、おやつ感覚で美味しく歯磨きが出来ちゃいます。
ただ猫に渡すだけだと猫は同じ歯しか使わなくなるので、食べさせる時は飼い主が手で持って与えましょう。
ヘチマ
猫が自ら歯磨きが出来ちゃうって嬉しいですよね。
野生の猫が捕らえた獲物の硬い皮膚を使って口内ケアをするのと同じで、こちらのグッズは少し硬めのヘチマ繊維に歯を食い込ませる事で口の中の汚れを落とせるようになっています。
ロープ
ガムと違って食べる事は出来ませんが、その分何回も使うことが出来、気に入ってもらえれば猫自ら歯を使ってガジガジ噛んでくれます。
おもちゃとしてお家に置いてみてはいかがでしょうか。
[まとめ]
猫の歯磨きの手段はたくさんあります。
慣れていない猫ちゃんにいきなり歯を磨こうとしても大人しくしてくれません。
飼い主にとっては猫の健康の為にやってあげた事だとしても猫は嫌な事をされたと認識してしまいます。
大事なのは段階を踏むことです。
段階 | 作業内容 | おすすめグッズ |
ステップ1 | 最初は顔や口周りを触られる事に慣れさせる | なし(素手)
口周りから徐々に口の中、前歯、奥歯の順番で触ってみる。 |
ステップ2 | 歯の表面を拭いてみる |
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ステップ3 | 猫に合ったブラシで歯を磨く |
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猫が少しでも嫌がる素振りを見せた場合、無理やり歯磨きをするのはやめましょう。
まずは、お口の中に「シュッ」と吹きかけるだけの「スプレータイプ」や、普段の飲み水に混ぜて飲ませるだけの「液体タイプ」がおすすめ。
また、普段の歯磨きにプラスとしておやつ感覚で口内ケア出来る「ガム」や、おもちゃ感覚で口内ケアが出来る「ヘチマ」、「ロープ」もおすすめです。
大好きな愛猫の健康を守れるのは飼い主さんだけです。
猫に合った口内ケアグッズを上手に使って、猫にはもちろん飼い主さんにも無理のない歯磨きの習慣を付けてあげましょう。