玄関やベランダなどの日当たりの良い場所で、猫がごろんごろんと背中を地面になすりつける場面を見たことがありませんか?
この仕草は「砂浴び」といわれています。あの様子はとても猫らしくて、何とも言えないかわいらしさがありますよね。
家の中だけでしてくれればいいのですが、外でもごろんごろんとしてきて、「体が砂だらけになって帰ってきた!」ということがありませんか。
わたしの友達宅の猫ちゃんは、トイレの中でこの行動をしていたことがあったそうです。トイレの砂が周囲に飛び散り、猫ちゃんからは強烈なニオイがして大変だったとか。
砂浴びをしている姿はとてもかわいらしいのですが、飼い主さんによっては少し悩みの種になっているかもしれません。しかし、これは猫にとって欠かせない習性だったのです。今回はその習性について詳しくお話します。
猫が砂浴びをする4つの理由
1.体についた汚れや害虫を落とす
猫の祖先にあたる動物は、砂漠に住んでいたと言われています。彼らは水で身体を洗う代わりに砂浴びをすることで、体の汚れや表面についた害虫を取り除く習性がありました。
今では砂漠に住んでいないはずの猫たちが砂浴びをするのは、祖先からの習性の名残りなのかもしれませんね。
猫には体臭がほとんどない
猫はかなりキレイ好きで、ニオイも汚れも自分で解決しています。
大昔、猫の祖先は狩りで獲物をとって生活していました。この時、自分のニオイに気づかれて獲物が逃げないようにするため、体臭があまり出ない体質になるように進化しました。
そのため、体臭はほとんどありません。さらに、普段から体をなめることで毛づくろい(グルーミング)をしているため、体を洗わなくても、ニオイが出ることはほとんどありません。
砂浴び+日光浴=最高のお風呂
実は日光浴にも身ぎれいを保つ効果があることが分かっています。日光浴をすることで、ニオイや汚れの元になる雑菌の繁殖を抑えることができます。
さらに砂浴びにも日光浴にも、猫にとってはリラックス作用があります。日当たりの良い場所で砂浴びをするのは、人間で例えるとお風呂でリラックスしているのと同じなんでしょうね。
砂浴びと日光浴は、猫がのんびりするためだけにしていたのかと思いきや、身体をキレイにするための大切な習性だったんですね。
2.マーキング、臭い付け
こんな悩みを持つ飼い主さんもいらっしゃるようです。猫も他の動物たちと同様に、マーキングによって自分の縄張りを主張する習性があります。
猫のマーキングの主な手段は尿によるものですが、オスと一部のメスがするもので、すべての猫がするものではありません。尿によるマーキングをする習性が無い猫は、砂浴びによってマーキングをします。
自分のニオイが消えたからマーキングをする
トイレでの砂浴びをする猫の多くは、トイレの砂を替えた直後にします。
排泄後のトイレで砂浴びをする猫はほとんどいませんが、たまにニオイがついたままトイレから出てくる猫がいる話も聞きます。冒頭でお話した友達宅の猫ちゃんもそうですね。
実はわたしが昔飼っていた「しゅり」も、このタイプの猫でした。
ある日、わたしの足元にすり寄ってきたから撫でようとしたら、ものすごいニオイがしました。
この時、トイレの砂を替えた後だったことを思い出し、トイレを確認したら周囲が汚れた砂だらけになっているのを発見。
そしてわたしの足も「しゅり」と同じニオイがついてしまい、すぐに着替えに行きました。
砂浴びには先ほどもお話したように、リラックス効果があります。砂浴びをして気が緩んでる時に、うっかりおしっこを一緒にしてしまうということもあるのでしょう。その時は大目に見てあげてください。
トイレの砂浴びを防ぐ手段
砂の粒の大きさによっては、砂浴びをしなくなる猫もいるようです。どうしてもトイレでの砂浴びが気になる、止めてほしい!という飼い主さんは、トイレの砂を替えてみるのも一つの手段です。
粒が大きいもの、小さいもの、はたまた砂ではなくチップ状のものまで、様々なトイレの砂が販売されています。実際に色々と使ってみて、環境に合ったものを探してみてください。
トイレの砂もいろんな種類があるし、色々試してみてもいいかも
友人が替えたトイレの砂はこちらです。
3.発情期のとき
猫の発情期といえば大きな鳴き声が特徴的ですが、砂浴びも発情期に現れる特徴として知られています。
砂浴びだけであれば気になる人も少ないと思いますが、大きな鳴き声が気になるという人や、外での砂浴びが多くなりすぎて体が汚れて困るという人は早めに避妊手術や去勢手術しておくことをオススメします。
以下の記事では、去勢手術の内容や猫の性格面について詳しく書いています。去勢手術でどのように猫の様子が変わるか気になる方は、ぜひご覧ください。
4.自分の気持ちを表している
猫としての習性の部分以外にも、自分の気持ちを飼い主さんに伝えるために砂浴びをすることがあります。猫にとってどんな気持ちを表すのか、見てみましょう。
- 「飼い主さん、信じてるよ!」
- 「一緒に遊ぼうよ~」
- 「ただいま興奮中です!」
- 「今、すごくご機嫌ですよ」
- 「体がかゆいの、なんとかして!!」
同じ行為の中に、良いことも、体の不調も伝えてくれていたんですね。本当は不調を訴えているのにご機嫌だと勘違いしてしまうと、猫ちゃんの異変に気づいてあげられず、最悪の場合は手遅れになってしまうことも。
そうなってしまわないためにも、普段から猫の様子をしっかり見て、早く不調に気づいてあげられるようになりましょう。
砂浴びから猫と仲良くなる方法
砂だらけで家の中を歩かれるのは困るという飼い主さんもいます。本当はシャンプーをしたいところですが、多くのネコちゃんは水がとても苦手です。たまにお風呂大好きなネコちゃんもいるようですが、極めて稀です。
ネコちゃんの汚れが気になる方は、濡れタオルで身体をそっと拭いてあげてください。この時にブラッシングも一緒にすれば、毛並みもさらにキレイになるでしょう。最初は嫌がるかもしれませんが、慣れてくればすんなりさせてくれるようになります。
そして、この時に一緒に毛並みや皮膚の状態の観察をしましょう。毛並みが崩れていたり、毛玉がたくさんあったり、目立つ汚れはありませんか?もしくは皮膚に赤みがあったり、ブツブツができていたりするかもしれません。
気になる症状があるときは、早めに動物病院にいきましょう。
わたしも少し前から、体拭きシートを使って「ゆね」の身体を拭いています。最近は「ゆね」も随分と慣れて、体を拭いてあげてる途中でゴロゴロいうようになりました。
これまで飼ってきた猫に比べるとフケの量が全然違いますし、なにより、猫との大切なふれあいの時間が増えました。とてもおすすめです。
色々な体拭きシートがありますが、もしも皮膚に赤みがあったり、身体に傷がある場合はノンアルコールタイプを選びましょう。
香りがついているものもありますが、あまり強いニオイだと猫が嫌がるかもしれません。愛猫にあった体拭きシートを探してみましょう。
まとめ
- 体の清潔を保つための習性。
- マーキングによるもの。トイレの砂浴びはおそらくこれが原因。
- 発情中の症状の一つ。
- 喜怒哀楽を飼い主に伝えてくれていた。
ただ背中をゴロンゴロンとしながらのんびりしているだけなのかと思っていたら、生きていく上でとても大切なことをしていた猫たち。
時には困った場面に遭遇するかもしれません。しかし、砂浴びはネコの祖先からの習性のため、無理矢理やめさせるのは難しいですし、猫にとっても大変辛いことです。
猫にはこういう部分がある、ということを理解したうえで、上手に付き合っていきましょう。