早いことでもう11月になり、今年も残すところ2か月となりましたね。少し前まではすごく暑くって、ゆねのために冷房を入れていたのに、最近はぐっと寒くなり厚手の靴下が手放せません。
そこで、もうすぐ愛猫たちに恋の季節がやってくることに気が付きました。
わたし、自分が猫を飼うまでは、猫って子育てができるくらいの立派な成猫になったら、パートナーを探すために大きな声で鳴いたりマーキングをしたりするんだと思っていました。
でも実は違っていたんです。
猫がパートナー探しを始めるには日照時間が大きく関係しているんです。
そしてその、日照時間の条件を満たす愛猫たちにとっての恋の季節がもうすぐやってくるんです。
いわゆる発情期といわれるものですね。この発情期を経験するかしないかで、家の中でマーキングをしてしまう確率がとっても変わってくるのです。
また、うちの愛猫は家の中でマーキングはしないけれど、お外を行き交う猫ちゃんたちにお庭にマーキングされて困ってしまう、なんてこともありますよね。
そんな、マーキングにまつわるお話を恋の季節が訪れる前の時期に知って、ぜひ対策を練っていきましょう。
猫のマーキングはいつから始まるの?
とっても重要な事なので一番最初に話しますね。
猫のマーキングって生後6か月頃から始まるのです。
そうですよね、わたしもゆねが生後6か月だった頃ってどんなだっただろうって写真を見返してしまいました。簡単に猫の成長過程をお話ししますね。
生徒0~1か月 |
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生後2~3か月 |
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生後4~6か月 |
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生後7~11か月 |
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生後12か月 |
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生後6か月というと活発に家の中を探検したり、やんちゃを始めるころなんです。意外と早いと感じませんか。
そしてオス猫には生後3か月頃から性成熟が始まっており、この頃から他の猫に覆いかぶさったり、腰を振るといった交尾のような行動がみられるようになるのです。
わたしたち飼い主の悩みの種であるマーキング行為は、体が成熟していく過程で身に付きます。ではなぜ生後6か月頃から始まることがわかるのか、具体的にみていきましょう。
1、猫のマーキングってどんなもの?
愛猫たちのマーキングは、その時の気持ちやアピールしたい内容によって手段が変わってくるんです。そんなマーキングの種類を先にご紹介しますね。
1、リラックスしているときのマーキング
飼い主など人や家具などに顔をこすりつけ、自分のにおいを付けるマーキング。ゴロゴロいいながら甘えてくるあの可愛い行動ですね。
猫の顔にある分泌腺からにおいのあるフェロモンを出し、自分にとって縄張りをより安心できるものにしていいます。
2、テンションがあがった時のマーキング
爪とぎをする時に肉球からおいのあるフェロモンを出し、元気な猫の存在をアピールするマーキング。
大運動会をしていたら突然爪をとぎ始めた、なんて経験はありませんか、あの時の行動はこのマーキングだったんです。
この2つのマーキングはにおいのフェロモンによるものですが、人間の嗅覚ではそのにおいを感じることはできません。
3、不安な時や縄張りを主張するマーキング
これがみなさんもイメージしやすい、尿によるマーキングです。
いつもよりも濃い、強烈な臭いの尿をスプレー状にするためスプレー行動と言われます。
去勢していないオス猫が縄張りを主張したり、自分をより強い存在だとアピールするためにする行動です。メス猫に見られることはまれですが、メス猫の発情期の行動にもこの尿マーキングがあります。
また、引っ越しや模様替えなどの環境変化や、家族構成・新しくペットを迎えた際などの変化により不安やストレスを感じているときにもこの尿マーキングがみられます。
マーキング行為の中でも、わたしたちが頭を悩ませるのはこの強烈な臭いのする尿マーキングですよね。
うんうんわかります、簡単に掃除できない家具に尿マーキングされてしまったり、知らないうちに知らない猫に尿マーキングをされてしまっては、いくら可愛い猫相手でも怒りたくなってしまいますよね。
これらを事前に防ぐためにも、猫の尿マーキングってどんな時にされてしまうのかお話ししていきますね。
2、猫の尿マーキングっていつから始まる?
メス猫は発情期になると自分が交尾可能であることを、大きな声で鳴いたり、地面にゴロゴロしてみたり、尿マーキングをしたりして周囲にアピールします。
一方オス猫には発情期というものはなく、メス猫のアピールに反応してマーキングをしたり、メス猫を探すために外を活発に動き回るようになるなど、発情特有の行動をするようになります。
この、メス猫であれば初めて迎える発情期、オス猫であればメス猫の発情期に初めて反応して行う行動が初めてのマーキングデビューになってしまうんです。
メス猫は早い個体で生後4か月頃に初めての発情期を迎え、オス猫であれば生後6か月前後に生殖器が発達するため、メス猫の発情行動に反応できるようになる。
初めての尿マーキングも、初めての発情行動を経験する過程で一緒に覚えることになる。
猫は季節によって発情期を迎える!
猫が発情期を迎えるには体の成熟以外に、わたしたち人間とは違い、日照時間による条件が必要になります。
メス猫は1日の日照時間が14時間を超えると、その日の長さに反応して発情を迎えます。大きな声で鳴いたり背中を床につけくねくねしながら転がってみたり、尿マーキングをしたりして自分が発情期であることを周りにアピールしてパートナーを探します。
猫の妊娠期間は約2か月とされ、食料確保のチャンスに恵まれる暖かい時期に子猫を産めるよう、暖かくなる前に発情期が訪れます。
暖かくなると子育てに励むお母さん猫とそのこどもたちを見かける機会も多くなりますよね。みゅうもしゅりも、出会ったのは暖かな春の日のことでした。
暖かい季節に出産できるタイミングでパートナー選びをしているなんてすごいですよね。お母さん猫の子猫への愛はここから始まっているんですね。
- 2~4月が春のピーク
- 6~8月が夏のピーク
日照時間が14時間を超えるのは、日本の気候ではだいたい1~8月頃にあたります。春・夏と2回のピークがあり、1年の中で2~3回の発情期を迎えます。
しかしこの、日照時間は太陽光でなく人工の照明でもいいんです。
そのためコンビニや飲食街などがあり、夜中でも明るい地域に住んでいる野良の猫ちゃんたちは季節に関係なく発情の機会が多いんです。また1日12時間以上、明るい環境下にいる猫には、季節は関係なく発情期が訪れます。
猫の生態も環境に合わせて少しずつ変わっているので、周りの環境によっては季節に関係なく発情が訪れる可能性があります。
- メス猫は日照時間が14時間を超えると発情期を迎える
- 太陽光ではなく人工の照明で照らされていても発情期は訪れるため、生活環境によっては日の短い季節でも発情期を迎える
猫の尿マーキングっていつまで続くの?
初めての発情期を迎えることにより、初めての尿マーキングデビューも果たすことがわかりましたが、では猫たちはいったいいつ頃までこの尿マーキングをするのでしょうか。
ずばり生涯現役!!
結論がすぐに出ました。健康でいる限りオスはその生涯を終えるまでずっと繁殖欲があり、もちろん尿マーキングもしっかりすることができます。メス猫であっても10歳を超える高齢猫にも発情期は訪れやはり尿マーキングすることができます。
我慢して掃除をしていればいつかは終わる、と辛抱していた飼い主さんにとっては残念な情報になってしまったと思います。しかし尿マーキング行為が続くということは猫にとっても、果たせない繁殖欲求が生涯続くことになるのです。
猫の尿マーキングはずっと治らない?
では、猫の尿マーキング行為を治すことはできないのでしょうか。
ずっと一緒に暮らす愛猫との生活を、お互い少しでもストレスのない状態で過ごしたいですよね。マーキングしてしまった後処理をしているわたしたちをみて、愛猫たちも心を痛めている事でしょう。たぶん(笑)
そんな愛猫たちの尿マーキングを、治るポイントと治らないポイントに分けて解説していきますね。
1、尿マーキングは経験させないのが1番!!
ここまで紹介してきた、発情期における尿マーキングの行動は、残念ながら本能のためやめさせることはできません。
この発情期による尿マーキングを解消するためには、避妊・去勢手術を行い、その本能から解放してあげるのが一番有効な手段となります。
ちなみにこの、避妊・去勢手術が生後6カ月頃の発情期を迎える前が良いことは、ご存知の方も多いと思います。
でもこれって、なんでだろうって思ったことはないですか。
もうよちよち歩きは卒業しているものの、まだ幼くかわいい時期ですよね。そんな時期に、全身麻酔をして行う手術をすることは、わたしたち飼い主にとっても勇気のいる決断だし、愛猫にとっても一大事ですよね。
しかし尿マーキングを経験しないまま大人になるのと、1度でも尿マーキングをしてしまった経験があるとでは、その後の尿マーキングされてしまう確率がグググッとあがってしまうんです。
わたしたち人も、高級なお菓子をこどもの前でいただく時など、これはあんまり美味しくないんだよ、なんて言いながら大人だけで食べることってありますよね。
そうすると、食べたことのないうちはすんなり受け入れるものの、一度つまみ食いされた経験があると食べたい食べたいとせがまれてしまいますよね。しかもこれが、お酒が入っていたりしてこどもが食べてはいけないものだとしたらすごく大変ですよね。
知らないほうが幸せなこともあるんです。
わたしも友人が猫を飼い始める際は、初めて発情期を迎える前であろう生後6か月頃に避妊・去勢手術を行うことを猛プッシュしています。
- オス猫に発情期はなく、周りのメス猫の発情行動によって誘発される
- 避妊・去勢手術をすると90%の猫は尿マーキングをしない
- 一度マーキングを覚えてしまうと完全に尿マーキングさせなくすることは難しい
2、避妊・去勢手術ができない時の対策法!
おうちにいる愛猫ちゃんが保護した猫ちゃんのためすでに高齢で手術を受ける体力がない場合などもありますよね。
その際はメス猫ちゃんであれば先ほどご紹介した、日照時間の条件を逆手に取り1日の人口の照明を含む、日を浴びる時間を12時間以下にしてあげて、発情期が来ないように調節してあげるといいですよ。
また、もしメス猫に発情が起こってしまった場合、すりすりと甘えてきてくれて可愛いとは思いますが、体を撫でてあげると刺激になってしまい余計に興奮してしまいます。発情が始まってしまったら、撫でたり構うことを我慢して見守ってあげてくださいね。
オス猫ちゃんである場合、オス猫には発情期がないため周囲の発情しているメス猫の気配を感じさせないようにしてあげることで、発情による尿マーキングを抑制してあげることができます。
- メス猫は日照時間が継続して12時間を超えないように注意してあげる
- 発情期が訪れてしまったら、構わずに見守ってあげる
- オス猫は「周囲のメス猫の発情」に気付かない環境づくりをしてあげる
2、ストレスによる尿マーキングへの対策!
尿マーキングは発情期に限って見られる行動ではありません。
避妊・去勢手術をしているのに家の中で尿マーキングを行ってしまう場合、ストレスによる原因かもしれません。
多頭飼いをしている場合に、同居猫とケンカをしてしまったり、共有しているトイレの数が足りないことをアピールするためなど、ストレスを訴えるために尿マーキングをしている可能性もあります。
同居猫とケンカが増えてしまっているようならば、キャットタワーを買い足してあげるなどして、猫ちゃんが逃げたり隠れたりできる場所を増やしてあげるといいですよ。
トイレの数は、飼っている猫の数プラス1か所用意してあげることが理想です。
また、引っ越しをしたり来客があった際など、環境の変化にストレスを感じて尿マーキングをしていることもあります。
猫がどこにストレスを感じているのか原因を探るのは大変ですが、尿マーキングをし始めた時に何か変化がなかったかなど思い返してみると解決の糸口になります。
3、外猫ちゃんによる尿マーキングへの対策
ここまでは飼い猫への尿マーキングのお話をしてきましたが、尿マーキングに困っているのは飼い主に限った話ではありませんよね。
外猫ちゃんたちにマーキングされて困っている場合、こちらの方法を試してみてください。
配置や高さを変えて対策をする
猫と猫の通り道が交差する道、また縄張りの境界にあたる場所は尿マーキングされてしまいやすいです。近くに猫の隠れやすい草むらや公園などがある場合、またお家が道の角にある場合などですね。
その場合、ちょうど猫の顔の高さくらいの物を置いてしまうと尿マーキングされやすくなってしまいます。通りに面していない位置に場所を移せる場合は動かしてみたり、鉢植えなどは少し高い位置に飾るようにすると尿マーキングがされにくくなります。
動かせないものにはスプレーをする
車や自転車など、簡単に場所を移すことができないものもありますよね。
そういったものの場合には1度、尿マーキングでついてしまったにおいを落とした後に猫の嫌がるにおいのスプレーをしてしまうのも手です。
こちらの記事で掃除方法やスプレーの紹介もしていますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
欲張っていろいろな話をしてしまったので、一度おさらいさせてもらいますね。
- 猫の尿マーキングは、初めて発情を経験することで身についてしまう
- 尿マーキングが行われる目安である生殖器の成熟は、メス猫で早くて生後4か月頃、オス猫で生後6か月頃
- 発情期を迎えるには生殖器の成熟とは別に、日照時間が14時間を超えるという条件も必要
- 1~8月がその条件にあてはまるが、夜でも明かりがついている地域では、1年を通して発情期を迎える条件がそろってしまう
- 避妊・去勢手術を受け、発情が起こらないようにする
- メス猫は日照時間が1日のうち12時間を超えないよう管理する
- オス猫は周りのメス猫の発情の様子が分からないように管理する
- ストレスによる尿マーキングには、そのストレスを取り除いてあげられるよう、尿マーキングが始まった時の環境変化がなかったかを探る
- 外の猫による屋外のものへの尿マーキングには、配置を変えたりスプレーをしたりして対策する
猫による尿マーキングは、その原因と仕組みを理解することによって事前に防ぐことができたり対策を練ることができることをお伝えしてきました。
人と同じで、幼いころからしてきた習慣をやめさせるのはとても大変です。
しかし、発情期の訪れる時期を知ってもらって、まだしていなかった避妊・去勢手術を受けるきっかけにしてもらったり、尿マーキングでお困りの方の、解決の糸口になれるお手伝いができていたら嬉しいです。
愛猫たちのちょっと、いや「かなりくさい」尿マーキング、されてしまわないように先手を打って。楽しい猫ライフを送りましょう。