ある日帰宅すると、壁に見覚えのない黄色いシミを発見。近づいてみるとそのシミは、直径が10㎝程の大きさで霧吹きをかけたような見た目。いつできたんだろう、なんて考えていると
思わず持っていた荷物を落として手で鼻をふさぎ、それでも息をするのが苦しいくらいの激臭。そう、これは猫がするマーキングの中でも、壁などにおしっこをかける「スプレー行為」というものです。
実はあまり知られてませんが、オス猫だけではなく、メス猫もする行為なんです。
このスプレー行為の強烈な臭いって、猫を飼ったことがない方や、そもそもスプレー行為をしたことがない猫もいるので、どんな臭いかわからないって人が多いですよね。
今回はこのスプレー行為の臭いや色、普段のおしっことの違いや、スプレーされた場合はどんな跡が残るのかを解説していきたいと思います。これから猫を飼う予定がある方も、参考になると思いますよ。
普段のおしっことスプレーの違い
そもそも、猫の普段のおしっこと、マーキングでするスプレー行為の臭いに違いがあるのか知りたいですよね。
猫の先祖は砂漠地帯に生息していて、少ない量の水を効率よく体内で循環させるため、猫はギュギュっと濃縮された濃いおしっこをします。
だから、どちらも元は同じおしっこで、どちらも臭いんです。
じゃあ普段のおしっこも尿スプレーも違いはないのでしょうか。いいえ、実はこんな違いがあるんです。詳しく説明していきますね。
排泄の仕方の違い
マーキングのスプレー行為と普段のおしっこ。同じ尿なのに臭いの感じ方も異なりますが、一番の違いは、排泄の時の姿勢なんです。
普段の猫のおしっこは、ほとんど腰を落として「しゃがむ状態」でしますよね。そのため水たまりのような形で残ります。しかし、スプレーは立ったまま、対象物に吹きかけるイメージで行います。
動物園に行った際、猛獣エリアで「動物がお尻を向けたら注意」という看板は見たことありませんか。大きさは違いますが、同じネコ科の動物でみられる行動なんです。
普段のおしっこは膀胱の中の水分をすべて出し切り、砂をかけて隠します。
一方スプレーは、自分の縄張りとして主張したいときに、壁などに対して少量のおしっこを霧状に吹きかけ、わざと臭いが残るようにしてるんです。
- 普段の尿→猫は元々狩りをしていて、自分の臭いを相手に知られないように消す習性があるため、普段の尿は猫砂で隠す。なのであまりニオイが気にならないことが多い。
- スプレー→尿を霧状にして高さのある所にかける。マーキングなので、臭いを残すのが目的。
臭いは去勢前の方が強烈!
今回はより詳しくお伝えするために、臭い成分について調べてみました。
人間のおしっこの中にタンパク質が入っていると、腎臓の病気の可能性がありすぐに検査が必要ですが、去勢する前の猫のおしっこには、「コーキシン」というたんぱく質が多く入っています。
このコーキシンが臭い成分の元になる「フェリニン」という硫黄を含むアミノ酸に変化。コーキシンとフェリニンは、一部のネコ科動物の尿にしか含まれていない成分なんですよ。
さらにフェリニンが空気に触れると「チオール」という成分に変化。このチオールが強烈な臭いの原因なんだとか。
去勢をすると子孫を残せなくなるので、メス猫にアピールする必要がなくなります。なので去勢前よりもコーキシンの量は減少し、マーキング(スプレー行為)も含め、おしっこの臭いは軽くなると言われています。
ちなみに数字にすると去勢前のオス猫のおしっこは、メス猫、去勢したオス猫よりも4倍も臭いんですって。スプレー行為は、それを霧状にして臭いを拡散させているので、とんでもない臭さ。
確かに先代のオス猫「しゅり」のとき、去勢前に比べ、去勢後の方がおしっこの臭いはあまり気にならなくなりました。
マーキングってどんな臭い?
「この臭いです」と表現するのは難しいのですが、わたしが以前飼っていたオス猫「しゅり」の場合は、ツーンと鼻を通り越して目に来るような、アンモニア臭に少し生臭さと鉄っぽい臭いをプラスしたような感じ。
わたしの友人は、ハムスターのおしっこの臭いを凝縮した感じ、動物園のライオンを展示している場所の臭い、という表現をしていました。
感じ方はそれぞれですが、普段のおしっことは比べ物にならないような強烈な臭いです。
臭いの原因は餌?!
猫のおしっこの臭いは、「コーキシン」というたんぱく質が原因なのですが、餌に含まれているタンパク質の量によってコーキシンの量も変化します。
普段から良質で、タンパク質が豊富な餌を食べていると、おしっこそのものの臭いが強くなる傾向があります。
普段のおしっこが臭いと、そのおしっこをスプレー行為で霧状にして臭いを拡散。結果、余計に臭くなります。
この臭いは人間にとっては耐え難いものですが、メス猫にとってはマーキングの臭い=強い猫として認識します。臭いが強ければ強いほど、良い餌を食べているかっこいい猫の証なんですよ。
マーキングした跡の特徴
実は猫を飼っている家の中だけではなく、庭や車にも野良猫がスプレー行為をしていた、なんてことも多いんですよ。
マーキングの痕跡
マーキング(スプレー行為)は壁など物に対して行います。流れ的にはこうです。
- スプレーする物にお尻を向け、しっぽをピンと高くあげます。
- おしりを軽く振り(しっぽを振るわせる子もいる)勢いよくおしっこを発射
このスプレー行為、名前の通りおしっこをかけた後は、霧吹きをかけたような跡が残ります。
量や対象物にもよりますが、近距離から霧吹きをかけたような丸い形のものや、ガラスにお掃除スプレーをかけた時のように、液だれして下まで流れているものまで様々。
縄張り意識が高いと、あちらこちらに繰り返して行う場合があります。すると、スプレーするおしっこもなくなってくるので、数滴ぽつぽつと飛ばした跡があるといった事も。
以前、わたしの車に野良猫がやけによって来るなと思い見てみると、ホイール部分にぽつぽつとシミが。シミの正体が猫のマーキングだとわかり、慌てて洗車をしたことがありました。
放っておくと臭いを嗅ぎつけ、違う猫もマーキングしにやってくることになります。
洗車をすると野良猫は来なくなりましたが、この時、マーキングの知識があったおかげで早く見つけることができてよかったと思ってます。
マーキングの色
色は普段のおしっこと同じ黄色です。
スプレー後、時間がたって乾いた状態で見つけると、搾りたてのリンゴジュースのように少し色が濃くなり、やまぶき色のような感じに見えることがあります。
ただし、去勢後もスプレー行為をしている場合は、去勢前と比べ、臭いとともに色も少し薄れます。
見つけにくいと感じる場合は、ブラックライトを使うという方法も。
ブラックライトは、尿の中に含まれているビタミンB群に反応し、光ります。
色の濃い布にスプレーして乾いてしまった場合や、臭いがするのに場所が分からないというときには、ブラックライトの光を当てて探すのも有効です。
マーキングをやめさせるには
マーキングは、縄張りを主張するときや、メスにアピールするときに行う行為。ですが、実は猫が遊ぼうと誘っているのに、飼い主さんが応じなかったなどの欲求不満のときも行います。
基本的にはマーキングをしないメス猫も、稀に発情期にすることもあります。
普段からきちんと遊ぶ時間をとってあげることで、マーキングの頻度が少なくなる、というのは結構ある事なんです。
マーキングの臭いで悩んでいた友人は、猫ちゃんとじっくり遊ぶ時間を確保したことで、マーキング行為は少なくなり臭いの悩みも減ったそう。
どんな遊びが好みかもわかったみたいで、猫ちゃんとの仲がより一層深まったみたい。
マーキング(スプレー行為)は縄張りの他にも、環境の変化やストレス、発情時、かまってほしい時などにもします。去勢すると9割がマーキングをしなくなると言われていますが、発情を一度経験していたり、習慣になっている場合は治すのが難しいと言われています。
猫がマーキングする理由については、こちらに詳しく書かれているので、参考にしてみてくださいね。
マーキング(スプレー行為)の掃除方法
マーキング(スプレー行為)は、同じ場所に繰り返し行うことが多いです。繰り返しさせないためには、臭いを完全に消す必要があります。
- 洗える素材はしっかりと洗い、アルコール消毒や熱湯消毒で可能な限り臭いを消す
- 洗えない素材は硬く絞った布で拭き、消臭剤をかける。置き型の消臭剤を使う際は、イタズラされないように注意する
「しゅり」の時はわたし自身、あまりペット用品に関心がなかったため知りませんでした。
今はペット用の消臭剤一つ選ぶのも、色んなものがありすぎて大変ですよね。我が家もいろんなものを試した結果、在庫がとんでもない量に。
愛猫「ゆね」はメスなのでマーキングはしませんが、たまにしてしまうおしっこのミスの時や、吐き戻しをしてしまった時に、わたしはこちらを使って消臭しています。
猫が舐めても安心な成分で、臭いが本当によく取れるので、マーキング(スプレー)対策にも効果抜群の商品です。
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まとめ
今回はマーキング(スプレー行為)の臭いについてお話ししました。
- ツーンと鼻を通り越して目に来るような、アンモニア臭に少し生臭さをプラスしたような感じ
- ハムスターのおしっこの臭いを凝縮した感じ
- 動物園のライオンを展示している場所の臭い
など、とにかく強烈
そして、普段のおしっことスプレーは元々同じもの。排泄時の姿勢や、霧状にして吹きかけるといった動作が加わることで臭いが増します。
- 普段の尿→腰を落として尿は猫砂で隠す。あまりニオイが気にならないことが多い。
- スプレー→立ったまま尿を霧状にして高さのある所にかける。マーキングなので、臭いを残すのが目的。
オス猫を飼っている方は分かるあの強烈な臭いですが、普段マーキングをしない猫や、普段のおしっことは違う臭いだなと、感じていただけたと思います。
スプレー行為の跡は、霧吹き状になっていることが多く、かけるおしっこが少ないとぽつぽつした黄色いシミがつきます。
見つけた場合はきちんと臭いを消さないと、何度も同じところで繰り返してしまうこともあるので、こまめに掃除することが大事。
これから猫を飼う予定のある方は、猫にはこんな習性があるんだと参考にしてほしいと思います。